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老いを学ぶ

2014年02月25日

老いの工学研究所提供

「憎まれっ子、世にはばかる」とは

田中 利和

「憎まれっ子、世にはばかる」という言葉がありますが、先日ある高齢者施設の職員から、まさに「憎まれっ子、世にはばかる」実態を聞かされました。
その施設では看取りまで行うため、年に何人もの方が亡くなられているが、職員に人気のある「可愛いおばあちゃん」や「優しいおじいちゃん」が早死にし、我儘で職員に敬遠されている入所者が元気で長生きしているとのことでした。

正直考えさせられてしまいました。
私たちの目指す「最後の死に様」は、「皆に惜しまれつつ」「人としての尊厳」を保ったまま死ぬ事であると考えています。しかしながら、その事が長寿と反対の結果をもたらす可能性がある訳です。

「我儘で」「自分勝手」な生き方で、周囲の人達から敬遠されながらも長寿を享受するか、「周りから敬愛され」「人としての尊厳」を保ちながら早死にするか。自分として、どちらの生き方を選択するか迫られたらどうするか考えさせられてしまいました。
多分、殆どの人は後者に決まっているじゃないかと言うと思いますし、私自身もそうですし、老いの工学研究所の考え方も同様です。

であれば、何故「良い人」が早死にするのか考える必要があります。私は、それは生活スタイルが1つの原因ではないかと考えました。
施設という限られた空間の中で、24時間の共同生活を送らざるを得ない環境に於いて、知らず知らずに「自分自身を抑制」し「周囲に気を遣い」「ストレスを溜める」ことになっていたのではないだろうか。このように考えると、改めていわゆる施設での生活に疑問を抱きました。

私達が理想とする生活は「自分自身の時間」は確保しつつ、「自分の好きな時に好きな仲間」と「好きな事を楽しみ」、なおかつ「必要な時には助けてくれる誰かが居る」。その様な生活であると考えます。
「良い人」が「周囲の人達に敬愛されながら」「長寿を全うできる」。その様な住まいを、これかも追究して行きたいと改めて考えさせられた出来事でした。

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