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老いを学ぶ
2013年12月11日
「口内炎の原因と対処法」~お口の健康(11):
歯科医師 小倉才子
今回のお口の健康は「口内炎」についてです。
皆様もお口の中に口内炎ができて、痛い思いをされた方も多いかもしれません。
口内炎とは、口の中の粘膜に起こる炎症をまとめて「口内炎」といいます。触ると痛い、すっぱいものや塩辛いものがしみると痛みが増すという特徴があります。口の中がしみて痛む程度から、ひどくなると、しゃべりにくい、飲み込みにくいといった症状が出ることもあります。
原因としては、誤ってほおやくちびるの内側、舌の縁などを噛(か)んでしまったり、とがった食べ物で口の中や歯肉を傷つけたり、やけどや辛い食べ物などの刺激からできることもありますが、かぜや疲れなどで免疫力が落ちているとできやすくなります。また、ビタミン不足やストレスも原因になります。また口腔内が不潔な状態だと口内炎ができやすくなります。中には、ウィルスやカビやアレルギーなどが原因の口内炎もあります。
元気はつらつの時は口内炎ができませんが、疲れていたり、食べ過ぎたり、睡眠不足だったりすると口内炎ができたということはありませんか?やはり体力が落ちている時に口内炎ができやすいようです。
口の中には、数百種類の雑菌が存在するといわれています。唾液の分泌が少なかったり、歯磨きやうがいが長時間できず口の中が不潔な状態になってしまうと、菌が繁殖しやすくなり、口内炎を発症しやすくすると共に、症状を長引かせてしまいます。特定の食べ物や薬、歯磨きの成分によって、アレルギーが起こり口内炎になる場合や、白血病などのガンや他の疾患の治療の副作用のために口内炎ができてしまう場合などもあります。
しっかりと身体を休めることも、口内炎を早く治すには、効果があります。疲労やストレスは、身体の免疫力を低下させます。また、唾液の分泌が少なくなり、口の中が乾燥しやすく、口の中の細菌が増えます。口の中が不衛生の場合、口内炎を長引かせる原因にもなりますので、こまめにうがいや歯磨きをし、口が乾燥する場合は、水やお茶をこまめに口に含むと、口の中の細菌が洗い流され、清潔に保つことができます。
口内炎の治療方法で、レーザー治療というものがあります。レーザー治療は、口内炎の部分をレーザーで焼くことで、表面がカバーされ、一般的に治るのに2週間ほどかかるといわれる口内炎が、数日で治してしまう、画期的な治療です。レーザー治療は、主に歯科でおこなっています。その場で痛みが緩和されることもあります。口内炎のお薬もありますが、長期使用はおすすめしません。
また口内炎はビタミン不足が原因のひとつですが、ビタミン剤は、サプリメントや医薬品の飲み薬として市販されていますが、口内炎になってから服用しても、遅いようです。
まずはご家庭では下の(1)~(4)のことから始めて下さい。
(1)まず口の中を清潔に!
毎食後に歯磨きやうがいで常に清潔にする。また口の中が乾かないよう にする。
(2)疲労・ストレス・睡眠不足に気をつける!
ゆっくりと休養をとって、睡眠を十分にとるようにする。
(3)バランスのよい食生活を!
とくにビタミンB群やCを含む緑黄色野菜を積極的にとって免疫力上げる。ただし、食べ過ぎないようにする。
(4)禁煙し、アルコールを控える!
次に東洋医学から見てみます。東洋医学では、臓腑はすべて感覚器官とつながっているとみます。口は脾(消化器)・胃と関係が深く、口内炎は脾(消化器)・胃の熱と捉えます。胃の調子が悪いと口の中が荒れます。暴飲暴食や脂っこいものを食べすぎると、胃に熱を持ち、その熱が上昇して口の中の粘膜に炎症を起こして口内炎を生じるのです。
口内炎を改善する食材は、大根、なす、きゃべつ、ホウレンソウなどです。この食材は胃の熱を取り除きます。またごぼうやセロリ、ゴーヤーは粘膜の炎症を鎮めます。
特になすには熱をさまし、痛みを止め、古い血を取り除く作用があります。アルミホイルに包んでオーブントースターなどで黒焼きにしてすりつぶしたものを、はちみつと練り合わせて患部に塗ると効果大です。
ただし口内炎といえども、まれに大きな病気が隠れていることもあります。とくに再発が続く場合には、がんやベーチェット病という皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍などを伴う全身性の炎症性疾患(膠原病周辺疾患)のこともあるので、念のため内科や歯科を受診するとよいでしょう。
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