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老いを学ぶ

2013年02月21日

「知覚過敏症について」~お口の健康(4)

歯科医師 小倉才子

冬は水道のお水も冷たいですね。
水を含むと歯がしみるということはありませんか?それは知覚過敏症といいます。正式には「象牙質知覚過敏症」といいます。なかなか歯がしみるのが改善せずに歯科医師も苦慮しています。

その原因はいくつか考えられています。
まずは歯ブラシのやり方が悪く、真横に強くこするために、歯肉に近い部分が削れて、くさび状にすり減ってしまい、象牙質が露出してしみる。楔状欠損(きつじょうけっそん)と言われます。歯磨き粉に含まれる研磨剤が問題と言われています。ただし楔状欠損があるからと言って必ずしも知覚過敏が起こるわけではありません。またくさび状に欠損する原因も歯ぎしりやくいしばり、かみしめによって歯に力が加わり、歯肉に近い部分が割れるとも言われています。
また歯周病が進んで、歯肉が下がることによって歯の根の部分が露出した状態になるとしみるようになります。
いずれにしろ何らかの原因でエナメル質やセメント質が削れ、象牙質が露出しているためにしみています。象牙質には神経に通じる細い通路(象牙細管)が開いています。そこから刺激が伝わってしみます。
時には歯と歯の間の見えない部分が虫歯になっている可能性もありますので、まずは一度歯医者さんで診ていただくといいですね。
また年を重ねると、象牙細管がふさがってきて、歯の根元が削れているのにしみることがなくなる場合もあります。その場合は歯が削れていてもそのままにしていて心配はないです。

知覚過敏症の歯科治療は薬物塗布、レーザー照射、TBI(歯磨き指導)、歯周処置、シュミテクトのような歯磨剤、充填、そして、最悪は神経を抜くこととなります。残念ながら神経を取ってもその歯が痛い、しみるように感じるという患者さんもいらっしゃいます。こういった治療法は、すべて対症療法にしかすぎません。

こうした症状に対して私は象牙質知覚過敏症を口腔内だけの問題とは捉えず、お身体全体に関係があると考えております。

まず知覚過敏症の患者さんを仔細に観察してみますと、
☆ 身体が冷えている
☆ 身体が緊張している
☆ かみしめている

そこで知覚過敏症の患者さんに下記のような養生法をお勧めしましたところ、以下の結果が出ました。
40症例のうち改善が37症例。その内、初回だけで何らかの改善があったのが35症例。不変は3症例。悪化は0でした。
変化がなかった方はかみしめが改善できなかった方と矯正中の方です。

ご指導した養生法は下記の通りです。
☆ 温め
☆ マッサージ(下顎・鎖骨下・耳・局所は原因歯の根元の歯ぐき)
☆ 顎ストレッチ
☆ 安静位を保つ(上下の歯と歯が2,3mm離れて身体がリラックスした状態)
身体が緊張している方は普段から上の歯と下の歯が当たっています。
実際にかみしめた時と、口元を少し弛めた時で腕や太ももの筋肉の
緊張を比較してみると違いがわかります。
☆呼吸法
自律神経のバランスを取るのに有効な方法として呼吸法があります。
深くゆっくり呼吸を繰り返す、腹式呼吸や丹田呼吸など

こうした結果からも歯がしみるのは歯だけの問題ではないということが分かります。
お身体を温めてリラックスさせることがどれほど重要かということ、そして身体はひとつで何処かで繋がっているということがよくわかります。

知覚過敏症で歯がしみたら、身体が冷えていますよ!・・緊張していますよ!・・という身体のサインと受け取って、お身体のケアをして頂くとよいと思います。

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