「中楽坊」スタイル
心身ともに豊かなシニアライフを
送るための Webマガジン
中楽坊の現場から
2020年05月15日
「自由」だけど、「自分勝手」ではない。 ~中楽坊の実話:4
ライフアテンダントに聞いた、入居者の方々のエピソードを連載しています。
――今回のコロナ禍では、外出の自粛などがあって、入居者も運動不足になったりストレスがたまったりしているのではないかと思いますが、どうでしょうか?
中楽坊の全ての物件で、コロナに感染した人は一人も出ていないのですが、それでも、サークル活動や数十人が集まってやっていた「百歳体操」が中止になりましたから、運動不足だと言う人は多くいました。
それで、どうにか運動不足を解消しようと、入居者と私達でいろいろ考えまして・・。
館内放送を使って「ラジオ体操」の曲を流して、皆で集まらないように、自室の玄関前に出て体操をしてもらいました。週2回やっています。
それと、ウォークラリーが企画されました。これは、入居者の方々の発案です。マンション周辺等にウォーキングコースを8つ設定しまして、それらをすべて制覇したらお菓子がもらえるという。
子供の頃に、毎朝ラジオ体操に出たらスタンプを押してもらえて、最後にお菓子とかジュースとかがもらえるというのがありましたでしょ。あれと同じです。
参加者は、80名近くになっています。
参加者にはカードが配られていて、一つのコースを歩いたら、私たちのいるサポートステーションに来ていただいて、スタンプを一つ押します。
――面白いですね。それは、みんなで一緒に楽しめますね。
今回だけではなくって、中楽坊では「仲間と一緒に楽しむ」のが日常の風景です。
ウォーキングラリーも突然、出てきた企画ではないでしょうね。2~3組のご夫婦がノルディックウォーキングというんですか・・、二本のポールを持って、一緒に2㎞くらいのコースをいつも歩いておられます。そういう日常があるから、出てきた企画だと思います。
一緒に、お出かけされる方も多いです。
――どちらに?
例えば、近くに新しいお店ができたら、皆で連れ立って行くとか。
例えば、新しくオープンしたうどん屋さんに行って、その帰りにサポートステーションに立ち寄って「〇〇は美味しかったけど、〇〇はちょっとなーー」とか教えてくれるんですね。いわゆる、食レポです。
パン屋さんが出来たときも、さっそく出かけて、私たちにパンを買ってきてくれました。
――近くのお店に出かけるのは、手軽でいいですね。
いえいえ、近い所だけではありません。電車に乗ってスーパー銭湯に行く人もいますし、女性陣はホテルランチに出かけたり。スポーツクラブやテニスに、一緒に出掛けていく人たちもいます。
皆さん、出かけるのが億劫ではないんですよね。お若いです。
――旅行なんかにも?
もちろん。
そういえば、何人かでクルーズの予約をしていたけどコロナの件があったからキャンセルしたって、つい先日、聞きました。
何日かの泊りがけで、一緒にゴルフ旅行に行く方もいますね。
旅行から帰ってこられた時は「ただいまー」って、サポートステーションにお土産を持って来られたりするので、私たちは「どちらに行って来たれたんですか?」って聞くんですが、ゴルフに行った人は日焼けしているので聞かなくても分かりますけどね。(笑)
―― 仲間で、お酒を飲みに出かけるようなことは?
そうですね、女性同士で近所のたこ焼き屋さんでビールとか。それから、男性たちはいわゆる「スナック」というか、カラオケを歌いに出かけている方もいます。
―― カラオケですか。わざわざ出かけなくても、館内のカラオケルームを使えばいいんじゃないですか?
ありますけど、カラオケルームは練習じゃないのかしら。
カラオケルームで練習して、外で披露しているんではないかと思っているんですけど、どうなんでしょうね。(笑)
―― 一方で、あまり外には出かけない人もおられますよね。
それはそうです。ライブラリーで一人、新聞や本を読んでいるのが好きな人もいますし、それぞれが、思うままに自由に暮らしておられますから。
でもね、それぞれ「自由」にやっているんですけど、「自分勝手」ではないんですよ。皆に目配りして、お互いに気を回している。
マンションのすぐ目の前に、喫茶店があるんですよ。その店にいつも行っている人たちがいるんですが、この前、その人たちが、あまり外に出たがらない人を「たまには一緒にどう?」って、誘っておられたんですね。
つまり、仲良しグループが固まって、自分たちだけで楽しんでいるんではない。それぞれが気ままにやっているようでいながら、一人一人を見て、コミュニティ全体のことを考えた行動をされる。そういう姿勢は、ほんとに素晴らしいと思いますね。
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