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老いを学ぶ
2016年08月01日
老いの工学研究所提供
親に、何歳まで生きてほしいか?【親の長寿に関する、子の意識調査】
老いの工学研究所
高齢期のライフスタイルに関するシンクタンク、NPO法人「老いの工学研究所」は、「親の長寿に関する、子の意識」に関する調査を実施し、30 歳から76 歳まで220 名の回答を得ましたので、その結果をお知らせします。
●8割超が、親の寿命85 歳以上を望む
自分・配偶者の父母に対して、それぞれ生きて欲しいと思う年齢を、「75 歳」~「100 歳超」の中から選んで頂いた結果は、上表の通りで、「85 歳以上」の合計が8割超となりました。
また、親の現在の平均年齢と、親に生きて欲しい年齢の平均は、下表の通りとなっています(100歳超を105 歳として計算)。 子が希望する親の寿命は約90 歳で、父親にはあと15 年超、母親には18 年近く生きて欲しいと考えていることになります。
現在の年齢を平成26 年の簡易生命表に当てはめた平均余命(右欄)と、「あと何年生きてほしいか」比べると、母親は平均余命程度、父親は平均余命より2~3 年長くなりました。
子が「親はあと15~18 年、90 歳位まで生きる」と考える一方、現実は85 歳超で約半数、90 歳超で約7 割が要介護状態になっています。従って、長寿を願うのであれば、病気・介護・死などについて親子で事前に検討しておくことが欠かせません。「今のところ元気だから」という検討の先送りは、大きなリスクであると認識する必要があります。
●生活実感に乏しい男性、高齢期の不安や不便への想像が難しく。
「親の環境などで心配なこと」は、男女別に、以下のようになりました。(複数回答可)
女性は男性に比べて、「人との交流の少なさ」や「家の老朽化」など、暮らしに関する様々な点を気にかけていることが分かります。
男性が女性を上回ったのは「経済的な面」のみとなり、男性は、高齢の親の暮らしについて具体的に想像ができていないのではないかと考えられます。
●高齢期の重要テーマについて、親子の会話が圧倒的に不足。
長寿を願うとき、高齢期の暮らしについて親子の対話は、非常に重要となります。
調査では、「親と会話をしたことがあるテーマ」を訊き、左の通りとなりました。
健康状態(94%)や経済状況(58%)、生活の不便・不安(50%)など、現在の暮らしについての話はしているものの、死や死後のこと、要介護状態になった際のこと、住み替えやリフォームなど、長い高齢期の生き方に関わる重要な話題については、おおむね2割程度しか親子で会話をしていないことが分かります。
90 歳の長寿を願う一方で、このような重要なテーマについて会話がなされていない状況は、病気や事故、介護、死などいざというときの対応に混乱が生じる原因となりかねず、互いに話しにくいテーマとはいえ、高齢の親とその子の対話の質の改善が急がれます。
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