「中楽坊」スタイル
心身ともに豊かなシニアライフを
送るための Webマガジン
中楽坊の現場から
2020年04月13日
「人生の最後まで自立し、家で終わりを迎える」実現したご夫婦。~中楽坊の実話:3
ライフアテンダントに聞いた、入居者の方々のエピソードを連載しています。
――シニア向け分譲マンション「中楽坊」は、人生の最後まで自立して暮らすために、という購入動機の方が多いと聞きます。それで想い出される方は?
たくさんおられるのですが・・・、真っ先に思い出すのは80歳代の後半のご夫婦です。
お子様はおられませんでした。
ご主人が末期ガンで入退院を繰り返しておられる状態で、ご主人自身も奥様も、病院ではなく自宅で最期を迎えたいということで、中楽坊に入居してこられました。
――施設にも入れたと思うし、その方が奥様も楽なのでは?
そういう考え方もあるでしょうね。
でも、このご夫婦は違うんですよ。老人向けの施設はイヤ、病院もイヤ。
最後まで自立して暮らすことを、もっとも大切にしておられるんですね。だから、食事も自炊。
もちろん、レストランを利用されるときもありましたけど、基本的には自分で食事の準備をする。
できることは、自分でやろうとしておられました。
ほんとに立派な方だな、いつも感心していました。
――奥様も大変だったでしょうね。
そうですね。
サポートステーションでよく話をしましたが、介護疲れが見えることもありましたし、「大変」「孤独」といった言葉を口にされていました。
――そういう方には、ライフアテンダントとしてどのような対応を?
私たちが介護をするわけではありませんし、日常的に何か具体的な手伝いをするわけでもありません。
奥様の状況や心情をしっかりと理解し、寄り添う。
観察し、洞察し、その気持ちをおもんばかり、お声がけし、対話をする。
もちろん、何かお困りがあればいろいろとお手伝いなどはしますが、基本的にはそういうことです。
でも、「あなた方の声掛けが嬉しいわ」「スタッフの方々が支えよ」と言ってくださっていました。
――その後、ご主人は?
当初のご希望通り、自宅で息を引き取られました。眠るように亡くなったそうです。
「最後まで自立して暮らす」「家で終わりを迎える」を見事に実現されたということですね。
私たちも手を合わせる機会をもらいましたが、そのときには、
「大変だったけど、皆さんのおかげでここまで頑張れました。ここに住めてよかった。ありがとう。」と言っていただきました。
聞きましたら、私たちだけではなく、購入時に担当していたライフアドバイザー(営業担当者)も、心配でたまに電話などをしていたようです。
その後、通夜と葬儀の日時などを掲示板に貼りました。
マンション内に友達や知り合いも多くいらっしゃったので、参列された方も多かったですね。こんなことは、いわゆる「施設」にはあり得ないでしょう。
――通常、誰からが亡くなったときは掲示板で告知するのですか?
もちろん、望まない人は掲示しません。
ただ、ここには一つのコミュニティが出来上がっていますから、あまり隠しごとがないんですよね。
昔、町内会とかがあって、誰かが亡くなったりしたら通夜や葬儀の日時が貼られたりしていたでしょう?ああいう感じですよね。
それと、自分達は年をとっているのだから、いつどんなことが誰に起こってもおかしくない、だからこそ皆で助け合い、見守りあっていきましょうよ、という空気があるんですね。
死は誰にでも起こりうる。そんなときには皆で手を合わせ、慰め合い、励まし合う。
それが当然という考え方が、自然にここには出来ているんです。
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